「…だった。」「…でしたね。」
最後の言葉、過去形ってなんか寂しい。
みんなで呑んで騒いで辿り着いた一人の部屋みたいに…
先月、友人が死んだ。
子犬をかばって車にひかれた。
新聞たちが小声で言っていた
「きっと彼はいつまでも英雄だろう」って。
だけど、そんな死んでしまった永遠の英雄も先月までは生きていた。
今僕は、ケニー・Gのアルバムを聴いている。
先月までは、彼が好んで聴いていた。
「今日呑みに行こうぜ、明日は休みだしさ」
彼が僕に言った、最後の言葉
「生きていた」「聴いていた」
最後の言葉、過去形ってなんか寂しい。
こうやって文面化する事で、僕はこれを読み返す度に
彼を思い出すのだろうか。
きっと違う。
きっと、僕は本当の意味で彼を忘れるためにペンを執っているのだろう…
少なくとも
そうである事を願う。
00.06.20