両手を広げた君は
その小さな手をいっぱいに
何もない青空に手をかざした

その手を奪った空は
まるで時間が止まっていて
何もない体温の君が映る

ガラス鉢の中をしなやかに泳ぐ
金魚みたいに僕たちは
上手ではなかったけれど
君を乗せた自転車のペダル漕いだんだ

なのに、こんなにも
川沿いのアスファルトさえあついのに
雲はどこか涼しげに浮かぶ
何もないあの日の青空
あれからどれくらい経ったのだろう

両手を広げた僕は
指折り数えた4,5,6と
何もない手のひらに何が見えた?

「まだそこ?」と投げかける君は
「2人しか居ない世界ね」って
何もない種明かしは夏に溶けた

回る踊る軽やかに降り積もる
かき氷みたいに僕たちは
上手ではなかったけれど
目に見えない大きな翼があったんだ

なのに、こんなにも
軽く吸い込む空気さえあついのに
君はいつも涼しげに笑う
何もないあの日の青空
あれからどんなことがあったのだろう

何もない毎日 何も知らない僕
誰も知らない世界を繰り返しても
僕は手を伸ばす場所さえ分からない
そんな毎年訪れるだけの夏の暑さ
君の本当の気持ちさえ分からない
何の変哲もないただの夏のリピート
ただ今にも消えそうに揺れる蜃気楼のような
いつもの茹だるような夏になれば
僕の何もない青空に君が映る

両手を広げた君は
その小さな手をいっぱいに
何もない青空に手をかざした

そして「ねぇ」って僕を呼ぶ
「ひこうき雲」と指差して
僕たちの世界を見上げたんだ

なのに、こんなにも
軽く吸い込む空気さえあついのに
君はいつも涼しげに笑う
何もない夢幻の青空
どこまでも
ふたり乗せ飛ぶはずだった飛行機は
太陽が映して消えてゆく
誰もいない無限の青空
あれからどれくらい経ったのだろう

どれくらい経ったのだろう

*REVOLVER dino network 投稿 | 編集