午前二時
カーテンを開ければ
いつからか小雨が
降り出していたけれど
シエラブルーの
スマートフォンが
朝には晴れると教えてくれた

そしてあなたに視線を移せば
どこか心配そうに、時々、外を眺めて
何かを考えているようだった

それは気のせいだったのかもしれないけれど
少しでも安心させたい
なんて、見慣れているはずの
後ろ姿を見つめてしまうと
僕はあなたの肩をそっと抱きたくなった

そんな想像を
いつものひとり用チェアーに座ったまま
小さく小さく失笑しながら
「きっと大丈夫だよ」と言うと
あなたは振り返りながら
「ふーん、そっかー」と無造作に返す
明日の天気に興味があるのかないのか
そんなことは分からない

いつだってあなたは自然体な日常で
特別僕に何かを想うわけでもない
長い髪を小さく揺らしながら
ソファにストンを腰をおろす
きまぐれな時間
あなたらしい夜

そんな姿も
僕には新しい夜
少し憎たらしいほどの
いつかの日常的な夜

そんなあなたと一緒に居ると
ここには誰にも見せない僕が居て
そんな僕にはお構いなしのあなたが居る

そんな毎日を
「これが僕らの愛のカタチだ」なんて
素敵な勘違いを、僕がし続けることで
毎年、花は咲くように
明日には雨が止むように
憎たらしさも愛おしさに染まっていって
今までひとりでは
どうしても進めなかった次の一歩を
僕は当たり前のように踏み出せた

だから僕は
いつだってあなたに
手を差し伸べられるように
だけどそれを
いつだってあなたに
気づかれないように
僕はあなたに遊ばれながら
あなたを守りたいと強く願い
更なる高みを目指そうと静かに誓う

僕の日常に差し込んだ
あなたという非日常な毎日
こんな夜を永遠と言えたなら
なんて、柄にもなく思ってみたりした
いつかの日常的な夜

飲み疲たあなたは
記憶もそぞろに
気づくとメイクだけは
しっかりと落としていて
ソファで横になっている

笑う三日月を景色の向こうに
雨上がりの夜明けを僕は知る

物音を立てないように
ゆっくりとカーテンを閉めて
もっと静かにそっと
あなたに毛布をかける

そんな二人だけの夜
言葉にするほどでもない
どこにでもありそうな
いつかの日常的な夜

この夜が明ける前に
あなたに想いが届けばなんて
寝顔を見ている僕の心は
毛布に包んだように温かい

そんな
いつかの日常的な夜
僕にとっての
ささやかな時間

ささやかな永遠

*REVOLVER dino network 投稿 | 編集