今日はなんだか暑かった。
商談が終わり、
近所の喫茶店に入った。
木造家屋の店内。
昔ながらのコーヒーグラスは
汗をかいている。
店内に流れるBGM。
僕の涙がこぼれた。思わずこぼれた、
思い出の1曲。
忘れたい曲、忘れたくない曲。
日持ちの悪いミルクの味も、
教科書に書かれた
パーフェクトの愛ではないものも、
僕の思い出。
忘れたいこと、忘れたくないこと。
ストローでコーヒーをかき混ぜ、
グラスにぶつかる氷の音は、
どこか風鈴のような音色だった。
僕は少し息を吸い込み、
一気にそれらを飲み干した。