僕たちはランドセルをからったまま
雨音の響く中で踊った。
要するに泥だらけになった
ということだけど、
その頃の思い出を
時々、僕は鮮明に思い出す。
あの日の雨の匂いを
感じる日にはね。
公園のブランコで
彼女と僕は並んで座り
笑っている。
みじんの欲も計算もなく
ただ楽しくて笑い合った。
そんな時に僕は思うんだ。
ひとっていいなぁって。
嗅覚が僕にくれるもの。
100の苦しみがあれば、100の喜びがある。
ひとつの涙にもたくさんの理由があるってことに
気づかせてくれる。
ただそれだけだったんだ。
それだけで良かった。
君は今もランドセルをからったまま
雨音の響く空で踊っている。