オアシス通りでの出来事

もしもピーマンが美味しいって
食べられるようになったら
この欠けているピースがひとつ
埋まるのかも知れない

風邪を引いたら優しくされて
咳き込みながら彼辺此辺になる穏やかさ
子供の頃には気づかなかった羨みを覚える
それはまるで大人になって闘うからこそ
分かるものかも知れない

大人になった今も
満たされないひとつを求めて
涼しい顔をして流れ着くように
刻み込まれるように気づけば
砂で浮かんだこの街に歓楽する

子供は対象外の世界（よる）と知りつつも
超えないラインの疑似恋愛みたいに
欲望を堪能させゆく妖艶な演者たちは
真実として刹那を彩る

未完成な空の下
哀が愛に見える乾ききった砂漠で歌う
オアシス通りでの出来事

もしもお前さえ居れば良いって
考えるようになったら
この欠けている心がひとつ
埋まるのかも知れない

夏を知らせる香りの方へ
魅かれるように目で追いかけた真白な百合
子供の頃には気づかなかった美しさが漂う
それはまるで大人になって汚れたからこそ
分かるものかも知れない

大人になった今も
今だから縁も所縁もない場所で
子供の心を掴でいく焼きたてのスーパーマン
縦横無尽な愛と勇気で
バイキンたちは陥落する

分かれていく明暗、理解していても
食い裂くライオンの宴みたいに
欲望に渇望してゆく純白な観客たちは
時を忘れて刹那に溺れる

時とは、
流れていくものなのか
刻んでいくものなのか
はたまた、
重ねていくものなのか
育んでいくものなのか
砂漠に咲く枯れない花に
注ぐ水はみなどこに辿り着くのだろう
何度でも起き上がる達磨のように
砂の上でも埋もれず留まらず起き上がり
この通りの果てに何が見えようか

全てがまやかしの世界と知りつつも
掻き上げたピアスからでさえ
欲望を堪能させゆく妖艶な演者たちは
真実として刹那を彩る
欲望に渇望してゆく純白な観客たちは
時を忘れて刹那に溺れる

未完成な空の下
哀が愛に見える乾ききった砂漠で歌う
オアシス通りでの出来事

Desire's desert street
西の空に太陽が沈むと現れる
オアシス通りでの出来事